Work Time |ソニー・ロリンズ (Sonny Rollns)のかたつぶりレビュー

Work Time / Sonny Rollins

 

1. There's No Business Like Show Business

2. Paradox

3. Rain Check

4. There Are Such Things

5. It's All Right With Me

 

 

Sonny Rollins (ts)

Ray Bryant (p)

George Morrow (b)

Max Roach (ds)

 

録音:1955年12月2日

レーベル:Prestige

 

 

背景

ロリンズの代表作『Saxophone Colossus』の半年ほど前に録音された本作。

こちらもワン・ホーン・カルテットの構成で、ロリンズのブロウを気持ちよく楽しめる。

 

 収録曲

1. There's No Business Like Show Business

アーヴィング・バーリン作曲で、1954年のマリリン・モンロー主演映画『ショウほど素敵な商売はない』の主題歌。

早いテンポを軽快なリズムで叩くローチのドラミング。ドラムソロが最高にかっこいい。

モロウのリズムベースもノリに乗っている。0:47くらいからロリンズとモロウの二人だけになるところでベースのドライブ感あふれる演奏がよくわかる。

 

2. Paradox

ロリンズのオリジナル曲。

シンプルなメロディもアドリブも、ロリンズは本当に気持ちよくサックスを吹いている。別にこの曲に限らないんですけどね。

ピアノのソロは1曲目よりも音の粒がはっきり聞こえて、こちらの方が好きです。

 

3. Rain Check

ビリー・ストレイホーン作曲。

ローチのドラミングは細かい音符の音も正確にそして気持ちよく聞かせる。

3:20からの余裕のあるブライアンとのピアノソロも最高。

 

4. There Are Such Things

アダムズ、ベア、メイヤー作曲で、フランク・シナトラも歌った本曲。

本作唯一のバラード曲。

ロリンズの歌心が炸裂していて、聴いていて身がよじれてしまいそうになります。。

バラードですこし控えめのバック陣の演奏も甘く切なく、それでいてクールなのが最高。

6:01ころから長めのピアノソロにうっとりしてしまう。

ピアノ後ろに下がると、ベースが前に出てくる。

シンプルなベースラインだけど歌っているようなモロウの演奏。

そしてロリンズが戻ってくると、バンドは再び感情の昂りを見せてエンディングを迎える。

 

5. It's All Right With Me

 アメリカの作曲家、コール・ポーターの作曲曲。

アルバムの最後はアップテンポの曲。

この曲もローチのドラムは完璧で、温度は保ったまま曲を前に進めていく。

モロウのベースも合わさることで質量を持ったビートは大きな推進力を感じる。

その上で、ロリンズはうねるようにサックスを吹く。

後半では、お決まりのロリンズとローチのかけあいが楽しい。

ロリンズのエンディングのフレーズも終わって、最後の最後にピアノが小さくコードを鳴らす。

本作の中で一番クールでかっこいい演奏だと思う。

 

終わりに

本作はロリンズにとって『Saxophone Colossus』の次点として、人気のあるアルバムのうちのひとつだ。

リズム隊が力強く、ノリのいい本作では、いわゆる「サクコロ」よりもロリンズのブイブイ言わせるサックスをストレートに楽しめるじゃないかなと思います。

ロリンズの入門盤としてもおすすめできるアルバムです。

 

jazz#4

20210714